「もう限界かもしれない」
あのとき、私はナースステーションの片隅で、誰にも聞こえないようにそう呟いていました。
患者さんのケア、後輩のフォロー、委員会活動、そして果てしない記録業務。どれも大事なのに、時間も気力もどんどんすり減っていくばかり。特に記録業務は、目に見えない重さを持っていました。
夜勤明け、疲れ切った体でサマリーをひたすら打ち続ける。家に帰っても、インシデントの報告書が頭から離れない。病院からの電話が来る夢を見る。「書く」ことに追われすぎて、「看る」ことが薄れていくような感覚──。
その状態が何年も続きました。
看護師の記録業務の内訳(イメージ)
記録業務はどれも必要な作業ですが、日々これだけの種類に追われています。

- バイタル記録:20%
- 処置記録:15%
- 看護計画・評価:25%
- サマリー作成:20%
- インシデント対応:10%
- その他:10%
私たちは、1日のうちかなりの時間を「記録」に使っているのです。
看護師を離れて、ようやく見えた“本当の問題”
私が一度、看護の現場を離れたのは、家庭の事情もありましたが、「自分の心と体を守るため」でもありました。
そして在宅で仕事を模索しながら、AIツールやライティング、システムの考え方に触れていく中で、ある強い違和感が生まれました。
「なぜ、あの記録はあんなにも人の手に頼っていたのだろう?」
例えば、私がライティングで使っているツールには、テンプレート機能や自動補完、音声入力、要約機能などがあります。
「これ、看護の記録にも応用できるのでは?」
そう思ったとき、はじめて「AIアプリを自分で作ってみよう」という発想が生まれました。
技術者じゃなくても、現場の声を形にできる
私はエンジニアではありません。
コードも書けなければ、アプリ開発の知識もゼロからのスタートでした。
でも、「現場の苦しさを知っている」という点では、誰にも負けない自信があります。
だから私は、エンジニアや開発者と協力しながら、少しずつ「現場の声を形にする」プロジェクトを始めました。
最初に考えたのは、「記録に追われている看護師の1日を1時間でも短縮するには?」という問いです。
AI導入前後の比較(表)
| 項目 | 従来の記録 | AIアプリ導入後 |
|---|---|---|
| 所要時間 | 約3〜5時間/日 | 約1〜2時間/日 |
| 精神的負担 | 高い(複雑・手入力) | 軽減(自動補完・音声入力) |
| ミスのリスク | 手作業で発生しやすい | テンプレ化で削減 |
| 情報の共有 | 申し送りメモが中心 | クラウドで一元管理 |
私がアプリに込めたい3つの機能
① 音声でパッと記録
手が離せない状況でも、スマホやタブレットに音声で記録できるようにしたい。
「バイタル、体温36.5℃、呼吸数20、血圧120/80」──これを話すだけで自動で記録される。
そんな機能があれば、記録のためにナースステーションへ戻る時間を減らせます。
② SOAP形式の自動補完
「記録を書くのが苦手」という声をよく聞きます。
SOAP記録のS(主観)・O(客観)を入力すると、A(評価)とP(計画)を自動で提案してくれる機能があれば、記録の質を保ちながら時間短縮にもつながります。
③ 看護計画テンプレート
よくある疾患別、患者像別の看護計画テンプレートをいつでも呼び出せるようにする。
もちろん、その場でカスタマイズも可能にして、現場に即した記録に活用できるようにします。
アプリを一緒に育ててくれる仲間を探しています
私は「過去の自分を助けたかった」という想いでこのアプリを構想しています。
でも、本当に現場で使えるアプリにするためには、皆さんの声が必要です。
- どんな記録が面倒だったか
- どこでつまづきやすかったか
- 「こういう機能があったらいいな」
小さなことでもいいので、ぜひ教えてください。
あなたのその一言が、次の看護師を助ける一歩になるかもしれません。
最後に──限界を感じる前に、頼れるものをつくりたい
もしこのアプリが、私が記録に追われていたあの頃にあったなら、 私はもう少し笑って患者さんと向き合えていたかもしれません。
「看護師を守るアプリ」なんて言うと大げさかもしれないけど、 私は本気で、現場を支えるツールにしたいと思っています。
そして、あの日の私のように限界を感じている誰かのそばに、 このアプリが届いてほしい。
それが、私がAIアプリ開発に踏み出した理由です。

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